UUG 写真と編集

There and Now: the Japanese Housing Scene

ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展|2016

訪れなければ絶対に分からないものが空間です。建築そのものは動かずとも、周囲の環境のざわめきや、住まい手や訪れる人々のふるまいといった、ある流動的な状態の中に建築は生きています。衣服のように柔らかくはないけれど、おおらかさと緊張感をあわせもって、暮らしとともに流れゆく空気をつくる。生き物のように呼吸する複合体としての建築には、竣工写真に写しだされた精緻なイメージからは想像もつかない、ノイズ混じりで、片時も停止することのない時間がそこにあるはずです。
本展で取り上げる10の住宅は、世代の異なる10組の建築家によって設計されたものです。それぞれ日本各地の様々な場所に、ここ5年にうちに建てられ、また既にある程度住まわれています。どれもが個性的な特殊解であるようでいて、様々な建物が入り混じる街並みの中に建てられた小さな住宅は、「その場所に住まう」という大きな課題に対する、率直な答えでもあります。その「答え」は、設計者によって意図されたものを超えて、住まい手の暮らしぶりまで含めて考えられる必要があるでしょう。
本展では、それぞれの住まいのあり様に着目します。新たに取材した映像と、3つのスケールにあわせられた30の模型の展示を通して、暮らしの中にパラレルに流れる時間と、周辺環境まで含めた住まいの成り立ちを、同時に提示します。それらが見る人の中で重なり合うことで、「日本の住まいの風景」がまさに「いまそこに」感じられるメディアとして再現され、遠く離れたヴェネチアの小さな展示空間に、豊かな風景としてあらわれることを目指しています。(展覧会趣旨文より)

SPECIFICATION

会期=2016年5月28日~ 11月27日
会場=Palazzo Bembo(イタリア、ヴェニス)

CRESIT

キュレーター=西尾圭悟(uug)
写真=大竹央祐(uug)
映像=西尾圭悟(uug)
会場構成=Louie Hamilton
出展=小引寛也+石川典貴、
山口陽登+楯列哲也+杉浦良和、松岡聡+田村裕希、森田一弥、遠藤秀平、竹口健太郎+山本麻子、光嶋裕介、可児公一+植美雪、鈴木亜生、芦澤竜一
主催=Global Art Affairs Foundation
総合主催=La Biennale
企画=日本建築設計学会
スペシャル・アドバイザー=五十嵐太郎
助成=ユニオン造形文化財団